ヨーガの真髄、呼吸法について②
前回に引き続き、呼吸法についてお伝えをしていきます。
当教室がお伝えしているハタ・ヨーガは、伝統的な本来の形をそのままにお伝えをしています。
これは、動き(アーサナ)だけでなく、動きと同時に行う「呼吸法」に関しても同様です。
止息(クンバカ)なくしてヨーガとは言わず、ヨーガの呼吸には必ず止息が入る
ハタ・ヨーガはアーサナを行っている最中も、止息を組み込んだ呼吸法をほぼ全ての動きの中で行っていきます。
これは当教室のオリジナルとかでは一切なく、ハタ・ヨーガがこの世に生まれた時からずっと存在し、行われてきました。
動きと同時にクンバカを組み込んだ呼吸法を行うのが由緒あるハタ・ヨーガ=ヨーガなのです。
止息とはその名の通り、意図的に息(呼吸)を止める行為。ハタ・ヨーガでは「クンバカ」と言います。
このクンバカには以下の3種類あり
・アンタラクンバカ 【息を吸い切ってから意図的に息を止める方法】
・バーヒアクンバカ 【息を吐ききってから意図的に息を止める方法】
・ケーヴァラクンバカ【意識の中で息を止める程度の自然な軽い止息】
主に当教室のレッスンでは「アンタラクンバカ」と「バーヒアクンバカ」の2つを、動き(アーサナ)と同時に行っていきます。(ケーヴァラクンバカを行うにはクンバカの経験と量が必要になるため、基本レッスンの中では行いません)
なぜクンバカを行うのか?動きの中でもクンバカを取り入れるのか?についてお伝えをしていきます。
クンバカは血中酸素量と深く関係しています。
バーヒアクンバカ=主にヘモグロビンと酸素の吸着能力を上げる
バーヒアクンバカは息を吐ききって呼吸を止めます。これにより、わざと肺の中の酸素量を少ない状態にします。すると私たちの身体は「少ない酸素をなんとかしてしっかりと体の隅々まで運ばなければいけない!」と判断し、運搬装置であるヘモグロビンと酸素の吸着能力を上げてくれます。
アンタラクンバカ=酸素をなるべく体全体の隅々まで送ろうとする働き
アンタラクンバカは息を吸い切って呼吸を止めます。これにより、酸素量が一定程度あるけれどもう補給がない状態に。そうすることで私たちの身体は、この酸素をなるべく体全体に送ろう!と働きます。
このクンバカの動きを、常にアーサナと一緒に繰り返すことで、いかなる時も体の隅々まで酸素を送ることができる血流にしていきます。血流に覚え込ませていくわけです。すると、ヨーガをしていない時でも、睡眠中でも、常に体の隅々まで酸素を送ることができる身体になり、同時に心臓の機能も上がるのです。
だから、源流のハタ・ヨーガを続けること、常に反復することが重要なのです。
また、息を入れて出す時には「腹式呼吸」を使わなければ、絶対に息を吐ききれません。腹式呼吸を使って息を
全部出し切らないと、肺の中の二酸化炭素濃度が上がってしまいます。源流のハタヨーガが「鼻から吸って鼻から吐く」という腹式呼吸だけを使うのは、息を全てを吐き出せるよう常にトレーニングも併せて行ってることも理由の一つです。
多くの人は、肺の下の部分(一番最下層部)と脇は特にガス交換ができていない場所。原因は多岐に繋がりますが、ガス交換障害が起きていることも現代人の動悸や息切れ、頭痛や生活習慣病、血栓、心臓系のトラブルや精神疾患の理由の一つです。
肺はご存知の通り心臓からの静脈血を動脈血に変える血液の循環器系とが一つになった器官です。
源流のハタヨーガで作る身体は、隅々まで身体を動かし、腹式呼吸を行いそこへクンバカを取り入れるため、肺胞で十分なガス交換ができる高い肺の能力の身体に仕上がります。肺胞で十分なガス交換ができガス交換障害が改善すると、息切れや頭痛、目眩や動悸、心不全などの先にあげたあらゆる症状が良くなるだけでなく心肺機能自体が上がり、疲れにくく病気になりづらいしぶとい身体になることができるのです。
時代と共にクンバカを組み込んだ腹式呼吸でのヨーガは、さまざまな理由からほぼ消えてしまいました。
一般的な情報には出てきませんが、クンバカを組み込んだ呼吸法を全ての動きに取り入れなければ「ヨーガではない」と言っても過言ではないほど重要なものです。
源流のハタヨーガで行う「止息」は、危険なものでも怪しいものでも取り扱いが難しいものでもなく、ヨーガ初心者からどなたでも行える重要な呼吸法です。
止息なくしてヨーガとは言わず。

