不随意筋やインナーマッスルはトルクのような存在
私たち現代人にとって注目すべき重要な筋肉は、不随意筋やインナーマッスルです。インナーマッスル(不随意筋も含めて表現させていただきます)が作れる動きでないと、健康を手に入れることも、大好きなスポーツや運動を続けることも、叶いません。インナーマッスルが作れること、これに尽きます。インナーマッスルが作れないと身体の動きというは全部が非常に中途半端なものになるのです
【インナーマッスルとアウターマッスルはトルクと馬力のような関係】
例えるなら、現代人の身体の作り方は「馬力だけあってトルクがほとんどない車」を作っているようなものなのです。
自動車のエンジンにトルクと馬力というのがあります。馬力というのはトップスピードを出すためのもので、力(パワー)を出すもの、トルクというのはエンジンの粘りを出すものです。
たとえば、ブレーキをかけて車を減速させていって、そしてそれをもう一回アクセルを踏んで立ち上げた時に動いているのは馬力ではなくてトルク。勢いを自分で落としてきて、そこから勢いを再び上げるときは馬力(パワー)では上がらず、この時は粘りであるトルクで上げていくのです。トルクは回転数が低いところに大体位置していて、最高馬力というのは回転数の高いところにあり、その二つがうまく絡みあっていると良いエンジンと言われています。このトルクと馬力がまさにインナーマッスルとアウターマッスルのような存在に似ています。
インナーマッスルがトルクでアウターマッスルが馬力。
パワーである馬力は注目を浴びやすいですが、最も重要なのはトルク。馬力はトルク無しには存在しないのでトルクがとても重要になります。
例えば、馬力ばかりあってめちゃくちゃなスピードまでにいくのだけれど、すごく乗り心地の悪い車というのがあります。それはトルクがついてこないから。トルクがないと車というのは動きが全部ギクシャクしてしまい、なめらかに動けないのです。人間の筋肉にも全く同じことが言えます。
力の出し方には2つあって、力そのものと言われるものと、粘りと言われるものがあります。例えば、ボクサーのパンチで、効くパンチと早いけど効かないパンチとかいろんな種類がありますね。効くパンチってものに近いのが粘りのあるパンチ。その粘りをつけるのはインナーマッスルです。でっかい力で爆発的な力を出す時にはアウターマッスルなのだけれど、アウターマッスルというのは基本的に力を出しやすいようにできていますし、力を出すための筋肉なんだけれど、インナーマッスルがないと細かい調整が効かないから、めちゃくちゃに力は出せるかも知れないけれど、その後が出ない可能性があるのです。
現代人はいずれにしてもインナーマッスルが不足しています。身体を動かさない、もしくは動かし方が非常に馬力不向きの力の出し方の方向に行ってしまっている、だからスポーツや筋トレなどがもてはやされてしまうのです。
【常に身体へは変化を生ませること】
通常の日常で使う時のバランスのよい身体というものを考えていった時に、アウターマッスルとインナーマッスルの兼ね合いが大事なわけですが、現代人はインナーマッスルが不足するような身体の作り方や生活スタイルになっています。同じ形でいつも同じように過ごす、椅子に座り続ける、同じ職場で同じ流れで対応するとか、細かい動きを日常ですることができないので、インナーマッスルを作ることができないのです。インナーマッスルというのは、いろんな動きをいろんな方向に動かしてできるものです。現代人に生活習慣病や糖尿病、様々な疾患が増えている背景には、細かく身体を動かせずインナーマッスルが不足していることが考えられます。遺伝も多少はあるかもしれませんが、遺伝よりも後天的な生活習慣の方が大きく影響しています。私たち人間は、健康体になるためにも、不調・病気を治すためにも、理想の身体を目指すためにも、細かく体が動かせることを維持することが重要です。現代のように、どんどん動きをスポーツ化していくと、動きを狭い範囲で限定してしまい、身体に変化を生むことが難しくなります。
例えばサッカーをやりながら草むしりなんてしないですよね。できるならこれくらい変化をつけて動いた方が身体のためにはなるのですが…サッカーは、サッカーという限定した変化のない動きの中で行うためインナーマッスルをつけることが難しいのです。
身体には常に変化が大事です。常に身体を変化させていって、それに向き合っていける身体をいつもキープするということが全体のバランスをとり続けること=健康・病気の治療に繋がります。
最初にもお伝えしたように、筋トレやスポーツ、現代のフィットネス、運動で作った身体は馬力だけあってトルクがほとんどない車のような身体になってしまいます。特にハードに身体を動かした後の状態というのは、最高速度だけはめちゃくちゃで走るのだけれど、そのあとはどこにいっても動かしずらい車のようになってしまう。そして、支えるところがないから、痛いとか苦しいという箇所が出てくるのが本音だと思います。
まずはインナーマッスルから作りましょう。
身体の道理に沿ったインナーマッスルの作り方を知っているのは古来源流ハタヨーガです。