現代ヨーガの真実
今や「ヨガ」という言葉を知らない人はいないくらい日本でも、世界でも、一般的になったヨーガですが、実はこの数十年で本来のヨーガから一変、ヨーガの世界は大きく変わりました。良くも悪くも変わりました。多くの人が知らないその歴史と、真実をここでお伝えしていきたいと思います。
ヨーガには2種類しかない
以前の記事でもお伝えしたように、ヨーガには2種類しかありません。
・ヨーガ→瞑想法だけを行うもの
・ハタ・ヨーガ→身体を動かし、呼吸法瞑想法を行うもの
この2種類です。ヨーガに関しては身を社会から切り離して生きていく者が行うヨーガですので、一般的にヨーガといえば「ハタ・ヨーガ」を指します。
現代では様々なヨガの種類が存在したり、「〇〇ヨガ」といった名のついたクラスがあったり、誰かが新しくヨガの名前を付けて生み出しているものがありますが、それらは全てヨーガではありません。もっと言えば、現代に存在する殆どのヨガはヨーガではないと行っても過言ではないほど、本質を失ったヨーガが流行しています。
ではどうして現代では様々なヨガが生まれてしまったり、本質を失ってしまったのでしょうか?
現代ヨガはお金儲けのために生まれた
表現が厳しいかもしれませんが、現代ヨガはお金儲けのために古来のヨーガの形を変えて生まれたものです。
今から50年ほど前、古来のハタ・ヨーガはマニアックな外国人から大変な注目を集めました。そのきっかけとなったのは、ビートルズがインドへ行ったことで影響を受けた欧米人たちがインドへ入り、たまたま目にした不思議な体操に興味を持ち、それらを自分のものにしようしたことが始まりです。その不思議な体操こそがハタ・ヨーガです。なぜ大変に興味をもったか…それはハタ・ヨーガを行う者たちの驚くほどに若々しい肉体と、健康で長寿である事実を目の当たりにしたから。
興味を持った欧米人たちは、ハタ・ヨーガの技術を自分のものにし、国に持ち帰り、お金儲けのツールにしようとしたのです。(特に米はビジネスの国。いかに人と違ったものを持っているかがビジネス成功の鍵になるという発想の国です)
だから、外国人たちは皆必死にハタ・ヨーガを学びました。その頃、ハタ・ヨーガ発祥のインドでは誰もヨーガなどに興味を抱くこともなく、ハタ・ヨーガの存在を知らないインド人もたくさんいました。ハタ・ヨーガというのは非常に狭い世界で行われていたものなのです。高いハタ・ヨーガの技術を持ったインド人はたくさんいましたが、インド国内にはこの頃、残念ながらそれを広めるマーケットがありませんでした。
ハタ・ヨーガの技術を習得した欧米人は、皆自国へ帰り、ビジネス目的でハタ・ヨーガを広め始めます。ところが、ここで大きな課題が生まれます。ハタ・ヨーガというのは「坐」が基本です。「アーサナ」とは「坐」という意味です。座って身体を動かすことがハタ・ヨーガの基本であり、実際に9割のアーサナが座って行うものです。日本人にとって座ることは自然なことですが、欧米人にとっては大変なことなのです。なぜなら、基本的に座る文化がないので、座る身体の基本ができていないのです。胡座も長座も、ハタ・ヨーガにとって重要な正座なんてとんでもないことなのです。ですからハタ・ヨーガを流行らせたくても簡単なことではありません。そこでいち早く儲けるために考えたのが、欧米人の得意な「立ち」の動きをアレンジしたものをベースにしました。けれども、9割が座位の動きのハタ・ヨーガです。立位の動きをアレンジするにも大したバリエーションが作れないのです。そこでさらに考えたのが「同じ動きで静止し、キメる!」、これがいわゆる「ポーズ」と呼ばれるようになった始まりです。もうこの時点でハタ・ヨーガの本質から大きく外れてしまっています。なぜなら、身体は座位で動かし続けることで骨盤矯正・そして生命に重要な細かい筋肉を作り上げていきます。ある一定の形で静止すればするほどに、身体はクセを作り筋肉を硬直させていきます。
お金儲けのために立位メインに形を変えたヨーガは、骨盤が日本人に比べて安定している欧米人には立位は行いやすいですから、もちろんヒットします。これに加えて、本来のヨーガは「一対一」のマンツーマンでレッスンを受けるものですが、よりたくさん儲けるために「一対複数名」のレッスンを始めます。さらにマドンナがファッショナブルな服装でヨガを始めたこともヨガが流行るきっかけとなります。
そもそもヨーガに資格などありませんが、ヨガの資格もこの辺りから生まれ始めたのでしょう。インド発祥のヨーガですが、米発祥のヨガ資格が世界的に流行っているのも、ビジネスの国らしいと思います。
このような流れで、現代のヨーガというのは存在します。ですから、ヨーガと言っても本来のヨーガではないことが殆どなのです。
特に米国でヒットしたヨガは世界的にも有名になります。そうなるとヨーガ産みの国インドも、それまで全く興味を示していませんでしたが、いよいよ国を持ってヨガをビジネスにしていきます。この頃にはすでに、米インストラクターがインドは入り、米国産ヨガを広めていきます。ですから、現在インドにあるヨガの殆どは古来のオーソドックスなハタ・ヨーガではなく米国産ヨガです。インド政府が出しているヨガ資格、そしてヨガ国際デー、これらも米国産ヨガ寄りの内容であり、ビジネス目的です。
日本で流行っているヨガは米国産
現在、日本で主流となっているヨガの殆どは米国産です。なぜならば、インストラクターの多くが米国産資格の保有者であり、その資格の内容は完全に古来のハタ・ヨーガとは違うものだからです。仮に、米国産資格ではない別の資格だったとしても、どこかの誰かがオリジナルで作ったものですから、オーソドックスなハタ・ヨーガではありませんし、大体米国産の要素は入っています。
そもそもハタ・ヨーガというのは、資格で伝えていけるものではないのです。
さて、日本で主流となっているヨーガは米国産でアレンジがかなり加わったものですが、これがまた問題となります。
「座る」文化を持つ日本人が「立位」メインで、かつ「ポーズ」をとるとなれば大変なことになります。なぜなら、日本人は欧米人に比べて骨盤が小さく立位で静止するにはとてもリスクが高いからです。ところが、現代の日本のヨガ教室ではポーズをいかに綺麗にキメるかに注力したり、立位の動きを並べてフローヨガと呼び、ひたすら動いたり、もしくは「リラックスヨガ」というクラスを作り殆ど動かない…。立位でキープも、立位でたくさん動くのも、ゆったりスローなクラスも、どちらも身体に良い影響はありません。強いて言えば、あまり動かないクラスの方がまだマシくらいです(身体を痛めるリスクが少ないからですが、意味がないので時間が勿体無い)
おそらく多くの日本のインストラクターは、ご自身の伝えているヨガが米国でお金儲けのために生まれたことや、アレンジされたヨガである事実を知りません。知っていたら伝えることができないはずです。皆、「多くの人に健康になってほしい、綺麗になってほしい」などといった良き想いを持って伝えているはずです。ですから、早くこの事実を知ってほしいと願います。
儲けることは悪いことではない
ここまで色々とお伝えしてきましたが、儲けることが悪いという話ではありません。本質を変えずに広げていくことができていれば、きっとハタ・ヨーガは形を変えることなく広がり、人々を救い世界を変えていたでしょう。
「欲」が本質を狂わせてしまうのかもしれません。生きていく上で、欲も大切ですが、常に本質を見失わないでいたいと、ハタ・ヨーガから学びます。
当教室は、先人たちが大切に築き上げてくれた、形を変えることのないオーソドックスなハタ・ヨーガを伝え続けてまいります。